生活保護」に向き合う新米ケースワーカーたちの奮闘劇健康で文化的な最低限度の生活

「健康で文化的な最低限度の生活」第1巻は8月29日(金)発売!

健康で文化的な最低限度の生活」第1巻は8月29日(金)発売!


今回の赤鮫が行く!!は、生活保護の新人ケースワーカーの活躍を描いた「健康で文化的な最低限度の生活」を、週刊ビッグコミックスピリッツで連載中の柏木ハルコ先生です。なんと今回は柏木先生の作品取材に私、赤鮫が行く!!こと近藤哲也も同行させていただきました。

柏木先生へは2回目となる今回のインタビュー。前回(※第一回「赤鮫が行く!!」柏木ハルコ先生インタビュー) は連載前という理由から聞けなかった「健康で文化的な最低限度の生活」のことを中心にお伺いしました。それではどうぞ!

a-(1)
お疲れさまでした、取材を終えていかがですか?
柏木ハルコ先生(以下、柏木)――お疲れさまでした。現在描いている「健康で文化的な最低限度の生活」は、生活保護ケースワーカーのお話で生活保護を受給する様々な事情を持ったキャラクターが登場します。普段は本やネットなどで情報を吸収するのですが、やはり現場を見て、声を聞かせてもらうことが1番勉強になりますね。

なぜ、タイトルに憲法第25条の「健康で文化的な最低限度の生活」を選ばれたのでしょうか?
柏木――おもしろいタイトルかなと思ったのと、最終的には人権、そもそも生きるってなんだ?ということを考えていくと思いますので、そういう意味でもいいかなと。

今回、描き始めて難しいと感じたことはありますか?
柏木――多くの制度があって、そういった専門的な分野を描くことが難しいです。それと、本当にいろいろな立場、考え方、価値観の人がおられますので、作品として生活保護のどこをクローズアップするか、ということは常に悩みながら描いています。どちらかに寄って描くとお話が偏ってしまうので、それが難しいですね。

支給する側とされる側ということですよね?両方から取材してお話聞くと全然違ったりはしなかったですか?
柏木――どちらにも事情があると思いますので。 たとえば喧嘩をしている2人がいて、片方から事情聞くと正しく思えてしまうけど、もう片方からも事情を聞くとそれも正しいと思えちゃうじゃないですか。 そういう感じはありました。

私自身も福祉に関する仕事をしているのでわかるのですが、福祉の世界って本音と建前がかなりありますよね。そこを描いていくに当たっての難しさはありますか?
柏木――第1話の中で、自殺してしまって「1ケース減って良かったじゃん」って(セリフが)あるんですけど、実際にこういうことを言う人がいるということは取材の過程で耳にしました。原稿が出来る前の下書きの段階で福祉関係の方に読んでもらったんですけど、「これちょっと福祉として言ってはいけないから、描くのはどうでしょう」と言われたんです。ただ、現実に起こっていることですし、物語の中でそれは良くないんだ、という回収はしなくちゃいけないなという思いはあります。現実は現実として、理想は理想としてどちらもちゃんと描きたいなと。あとは漫画なので、どうエンターテイメントとして成立させるか…そこも悩みどころではあります。

b
今回の作品はテーマがテーマなだけにネットでも話題になっており、政治家や専門的なサイトでも取り上げられているのが目に付きますが、そういった評判はご覧になられますか?
柏木――専門の方に評価を頂いてるのはすごく嬉しいです。最初は何言われるかなと思って描いてたんですけど。 Twitterなどでつぶやかれてる内容は、悪いことが少なくて正直ホッとしています。もっとネガティブなことを言われるのかなと思ってたので…探せばいらっしゃるのかもですけど。そういう意味ではわりと今のところは好意的にとらえられている感じはあります。でも、いろんな人から感想はもらいたいと思っています。私も気が付かずに変なこと描いてしまっているかもしれないし、いい加減なことは描きたくないので、取材をお願いしたケースワーカーさんなどには指摘してくださいと伝えているんですけど。

8月29日に単行本の1巻が発売されますが、一言お願いします。
柏木――就労に関するエピソードから始まるので、福祉を知らない人でも読んでもらいやすいと思いますし、知らないからこそ読んでいただきたいですね。雑誌で読まれた方でも、単行本用にかなり加筆しており楽しんでもらえると思いますので、ぜひ手に取って読んで下さい。 よろしくお願いします。

【赤鮫後記】
取材の詳細については漫画の内容にも関わるため公表できませんが、漫画家として20年以上のキャリアをもつ柏木先生が、昼夜にわたる取材の中で数多くの質問を投げかけ、返ってきた答えには熱心にメモを取っている姿を見て、改めて漫画とは細かな取材の裏付けによって成り立っているのだ、と感じました。

柏木ハルコ先生から直筆のサイン色紙のプレゼント!

c
[応募方法]
コチラから題名に「柏木ハルコサイン色紙プレゼント希望」とし、お名前(ニックネーム可)と柏木ハルコ先生やまんがStyleへのメッセージを入力のうえご応募ください。抽選で1名様に「柏木ハルコ先生サイン色紙」をプレゼント。

〆切は2014/9/19(金)12:00まで。
※当選者にはメールにてご連絡いたします。
※発送は日本国内に限らせていただきます。予めご了承ください。

【関連リンク】
柏木ハルコ twitter