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スーパーゼウス、ヘッドロココ……原画を通してよみがえる収集の日々 「ビックリマン原画展」開催中

初見で「集めたい」の魔法にかけられたビックリマンのイラストの魅力を、モノクロの線画でより堪能しよう。

誰もが拝み倒した「スーパーゼウス」の線画……!

誰もが拝み倒した「スーパーゼウス」の線画……!


スーパーゼウスヘッドロココ、スーパーデビル……子供時代にあんなに欲しかったビックリマンシールのヘッドたち。その原画を会場で見ていると、シールで感じられたあの手描きのぬくもりが、サインペンの濃淡やホワイトの修正跡などでより強く伝わってくる。

シールのおまけ付きでおなじみ「ビックリマン」の「天使VS悪魔シリーズ」誕生30周年を記念した「ビックリマン原画展」が、8月21~8月31日に渋谷パルコパート1のギャラリーXで開催中だ。

1977年の「ビックリマン」発売以降、21代目までシリーズ交代を続けてきたビックリマンシールの中でも、1985年から90年初頭にブームを巻き起こした10代目にあたる「悪魔VS天使シール」シリーズの代表的原画が71点展示されている。

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洗練されたモノクロの線画が並ぶ

洗練されたモノクロの線画が並ぶ


原画は同シリーズの絵を85年から以来描き続けてきたグリーンハウスの米澤稔と兵藤聡司によるモノクロ線画が51点、カラー原画が20点。原画が入った額の下には、イラストのシールの現物が表面と裏面で1枚ずつ飾られている。

ブームの火付け役「聖魔対戦編」の魔肖ネロ(左)とヘッドロココ(右)

ブームの火付け役「聖魔対戦編」の魔肖ネロ(左)とヘッドロココ(右)


シールのラインナップは、「悪魔VS天使シール」第1~31弾のヘッドシールが中心。「聖魔対戦編」(第1~12弾)のスーパーゼウスや魔肖ネロ、「次界争奪編」(第13~19弾)のアンドロココやマリア・ショウ、「マルコ激闘編」(第20~25弾)のアレキ・サンマルコやB・Z・H、「パンゲラシー編」(第26~31弾)のスサノオロ士などだ。なおヘッドシールは各弾の中でも数枚しか存在しないレア物だったため、当時の子どもたちは手に入れようと躍起になった。

「次界争奪編」のアンドロココ(左)や「パンゲラシー編」のスサノオロ士(右)

「次界争奪編」のアンドロココ(左)や「パンゲラシー編」のスサノオロ士(右)

 

モノクロ線画に色を加えたカラー原画も。左は第18弾のメイドン幻使

モノクロ線画に色を加えたカラー原画も。左は第18弾のメイドン幻使


ヘッドだけでなく天使、悪魔、お守りシールの原画もあり、十字架天使やプッチー・オリンなど、各アニメシリーズのヒロインといったおなじみのキャラの原画もばっちり網羅。シール収集だけでなく、テレビにもかじりついていた当時のビックリマンファンなら胸をときめかせるものばかりだろう。

第1弾の十字架天使(左)や第19弾のプッチー・オリン(右)など、ヘッド以外のキャラの原画も多数展示

第1弾の十字架天使(左)や第19弾のプッチー・オリン(右)など、ヘッド以外のキャラの原画も多数展示

線画を観察すると、ビックリマンシール独特の馴染みやすい雰囲気が色濃く感じられておもしろい。米澤は現在にいたるまで、線画を普通の文具店で売っているサインペンで描いてきた。スーパーゼウスの胸に描かれた「金」マークをよーく見ると、黒の塗りつぶしにムラがある。シャーマンカーンには、「シャーマンカーン」の文字を入れるスペースのレイアウト線が鉛筆で残っている。

スーパーゼウスの胸部(左)、文字のレイアウト線が見れるシャーマンカーン(右)

スーパーゼウスの胸部(左)、文字のレイアウト線が見れるシャーマンカーン(右)


こうしたビックリマンシールの手描きで生み出されていたことが感じられる箇所を見つけるたび、初見で欲しくなったあのシールの馴染みやすさの原因が分かったような気がしてくる。

筆者は1988年生まれで初期のブームは体験していない。それでも小学校6年生のとき何気なく買った14代目「ビックリマン2000」シリーズで、「大トロ」というヘッドでもなんでもない天使のイラストを見てビビッと来てしまい、一人で黙々とビックリマン2000を買い続けたのだった。高校3年生の受験シーズン、なぜか学校の友達と3人で17代目「ビックリマンひかり伝」にハマって、復刻版の「笑天師」のシールを見て「なんじゃこのキャラ」と笑いあった。

なぜあれほどビックリマンシールは魅力的だったのか。手描き感あふれる原画に触れてその理由に納得しながら、いろんな思い出がよみがえってきた。初期のブームを体感していない僕ですらこうなのだから、リアルに集めていた世代にとってはなおさら感動が大きいかもしれない。米澤の来場者へのコメントにあった「手描きならではの雰囲気やパワー。それこそがビックリマンの原点だと思っています」という一言に大きくうなずく。

原画だけでなくシールの現物も、ヘッド・天使・悪魔・お守りに分けて数多く展示。持ち帰りたくなる気持ちはわかりますが抑えてください!

原画だけでなくシールの現物も、ヘッド・天使・悪魔・お守りに分けて数多く展示。持ち帰りたくなる気持ちはわかりますが抑えてください!

 

ビックリマン好きな有名人たちからのサインも!

ビックリマン好きな有名人たちからのサインも!


ほかにもビックリマンのファンだという有名人のサインも19点展示。「ビックリマンチョコお年玉で箱買いしてました!!」のメッセージもある横浜F・マリノス中澤佑二をはじめ、お笑い芸人の東野幸治、プロボクサーの内藤大助などのサインを見ると、ビックリマンシールは子どもたちの心を幅広く掴んでいたことがうかがえる。

「北斗のマン」としてビックリマンとコラボした『「北斗の拳』」の原哲夫(左)、中澤佑二(右)のサイン

「北斗のマン」としてビックリマンとコラボした『「北斗の拳』」の原哲夫(左)、中澤佑二(右)のサイン


特に目を引くのがイラストレーター・中村佑介によるトリビュートイラスト。ヘッドロココを中村ならではの画風で描いており、右下にはコメントをシールの裏面風に記すなど芸が細かすぎる。

気合い入りすぎ! これも商品化してーー!!

気合い入りすぎ! これも商品化してーー!!


原画展に際して中村はTwitterでもヘッドロココの絵についてコメントし、「この線の少なさ、太さで、かつ2頭身で、美青年を描き切るスキル、今見ても溜息ものです。今から20年以上前の作品だとはとても思えません」と敬服。1月にもビックリマンのイラストの魅力について語り、そのツイート群はtogetterにまとまっているので、予習すると原画をより一層楽しめるだろう。

1985年の発売当時から現存するビックリマンチョコも展示中。中身の状態はさておき、30円時代の小さなサイズに出会えるぞ

1985年の発売当時から現存するビックリマンチョコも展示中。中身の状態はさておき、30円時代の小さなサイズに出会えるぞ

クリアファイルやバインダー、トートバックにTシャツなど、物販も充実

 

クリアファイルやバインダー、トートバックにTシャツなど、物販も充実

さらにはシークレットもある缶バッチ(左)とキーホルダー(右)のガチャガチャも場内でできる!ああ、収集癖がここでも爆発しそう……

 

そしてこちらが今回発売となった「ビックリマン原画大全」の限定特装版(左)と通常版(右)

そしてこちらが今回発売となった「ビックリマン原画大全」の限定特装版(左)と通常版(右)

 

高精度の印刷で生原画の質感をそのまま再現

高精度の印刷で生原画の質感をそのまま再現


また30周年を記念して、本展で飾られたものも含む500点以上の原画を収録した本「ビックリマン原画大全」(4000円)も全国で発売。これをスーパーゼウスのシール風のスリーブに収めた限定特装版(5000円)も原画展の会場限定で販売している。さまざまなビックリマングッズと合わせて買い求めたいところだ。

会場限定販売の特装版は、スーパーゼウス風のスリーブケース入り

会場限定販売の特装版は、スーパーゼウス風のスリーブケース入り

 

帰るときは、スーパーゼウスのパネルと一緒にビックリマンシール風の写真を撮ることを忘れずに!

帰るときは、スーパーゼウスのパネルと一緒にビックリマンシール風の写真を撮ることを忘れずに!


日本各地のビックリマンファンにとっては全国巡回を切望するであろう本展。ビックリマンへの愛は、天使と悪魔の戦いのように終わることはない。ぼくも1つお願いしていいですか? 「ビックリマン2000」展もやってくださーい(土下座)。